高密度表面波探査

高密度表面波探査とは?

表面波探査は、地盤の表面付近を伝わる表面波-レイリー波を観測して、地盤のS波速度分布を求める探査法です。長い波長(低周波数)は深部で伝播速度が速くなります。
これは分散現象と呼ばれるもので、この波長による伝播速度の違いを逆解析することにより、地盤のS波速度構造※を求めることができます。
(※レイリー波の速度はS波速度の約90%であり、ほぼS波速度とみなすことができる)

従来の表面波探査では2~3個の受振器を用いて測定・解析を行っていましたが、この高密度表面波探査では24個の受振器で測定でき、より精度良くS波速度を検出できるようになっています。

コンクリートやアスファルト等の舗装上でも探査可能であり、火薬等を使用せずカケヤ起振で簡易にS波速度構造を求めるられることや、道路や港湾施設、延長の長い河川堤防などの広範囲を効率的に調査できるといった利点があります。

作業概要

探査深度の2倍以上の測線長を確保し、起振点及び受振点は0.5~2m間隔で設置します。
カケヤ起振については、地表面が舗装されている場合や、反対に軟弱な場合などには、起振位置の地表を傷めないようゴム製のプレートを震源板として使用します。
受振器の設置は、舗装上では受振器を連結させて牽引します(ランドストリーマー方式)
舗装されていない地面では受振器にスパイクピンを取り付けて地面に突き刺して設置します(固定展開方式)

解析

測定で得られた波形記録における全ての起振位置及び受振点位置の情報を整理し、
ジオメトリを作成します。
整理された波形記録ごとに、類似した波形を抽出するクロスコリレーション(相互相関)とよばれる波形処理を施し、疑似共通起振点記録(CMPクロスコリレーション記録)を作成します。これらが位相速度計算の準備です。
CMPクロスコリレーション記録をそれぞれ周波数領域に変換した結果をグラフ化し、最大振幅を読み取ったものが分散曲線となります。
ここで、極端な高周波や低周波を示すノイズや高次モードに対し、スムージングを行います。
これらの分散曲線をもとにしてS波速度構造を計算し初期モデルとします。非線形最小二乗法による逆解析で、理論的な分散曲線との残差が十分収束したものを最終的なS波速度構造とします。